研究課題/領域番号 |
16659014
|
研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
|
研究分担者 |
三谷 公里栄 就実大学, 薬学部, 助手 (70368702)
|
キーワード | 分子認識 / ハイスループット / オンライン分析システム / 分子インプリント法 / 固相マイクロ抽出法 / ニューキノロン系抗菌剤 / 口臭分析 / 多検体同時処理法 |
研究概要 |
17年度は、実施計画に基づき、分子インプリント(MI)法を利用して、様々な医薬品に対するMIポリマーを作成し、その分子認識能を評価した。また、オンラインインチューブSPME法を用い、様々な薬毒物や環境汚染物質の分析に適用した。特に環境中の医薬品汚染や容器包装器材を介した食品汚染を解析した。さらに、マイクロ固相抽出のためのサンプリング器材を検討し、口腔内気体を吸着濃縮、保存できる分子認識ポリマーを考案し、GCの熱脱着装置を用いて直接分析するシステムを検討した。一方、マルチチャンネル電子ピペッターを用いる多検体同時処理とマイクロプレートリーダーとの結合によるハイスループット分析システムを検討した。 1.MI法によりスルファダイアジン、アセメタシン、カフェインをそれぞれ鋳型とした分子認識ポリマー(人工医薬品受容体)の合成法を検討し、その選択性や吸着能を評価した。スルファダイアジン認識ポリマーに対する他のサルファー剤の選択性は低く、ポリマー合成時の鋳型の溶解性やポリマー成分の混合比などに問題があり、さらに検討する必要がある。また、アセメタシン認識ポリマーを作成し、解熱鎮痛剤インドメタシンの選択的抽出を試みたが、ノンインプリントポリマーと比較して選択係数は低く、鋳型:機能性モノマー:架橋剤の混合比や溶媒の影響があると考えられた。一方、カフェイン認識ポリマーを作成し、テオフィリン及びテオブロミンの吸着能を評価したところ、分子認識能、吸着性能も優れており、選択係数が2以上と高い選択性が得られ、現在キャピラリーへのコーティングを試みている。 2.インチューブSPME法による環境中の医薬品汚染分析及び食品容器包装器材を介した有害物汚染分析を行った。ニューキノロン系抗菌剤について、インチューブSPME条件を最適化し、LC/MS/MSによる高感度分析法を確立した。pptレベルのフルオロキノロン類をオンライン自動分析することができ、本法を環境水試料分析に適用したところ、下水処理場や病院の排水からオフロキサシンが検出された。また、同様な手法を用いて、接着剤成分の容器プラスチック透過性を検討したところ、トルエンなどの揮発性物質の透過性が認められた。 3.活性炭不織布やシリコンコートした繊維を吸着材料とした揮発性ガスサンプリング濃縮デバイスを開発し、口腔内気体を吸着濃縮を評価し、口臭の原因となるメルカプタンの熱脱着GC分析法を開発した。 4.固相抽出剤をマイクロチップ先端に充填し、マルチチャンネル電子ピペッターを使って色素の抽出を検討したが、期待した濃縮効果は得られなかった。現在、キャピラリーをピペッターに取り付けた抽出法を検討中である。今後、化合物濃度と毒性を評価するためのパラレル多検体同時処理法についても検討していく予定である。
|