研究課題/領域番号 |
16659030
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長尾 善光 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40027074)
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研究分担者 |
佐野 茂樹 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (20226038)
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キーワード | 非結合性相互作用 / 含イオウ常用医薬品 / 官能基 / X線結晶構造解析 / 計算化学 / タンパク複合体結晶構造 / 抗生物質 / メチシリン耐性菌 |
研究概要 |
最近我々は斬新な創薬メソドロジーの構築を目的として、創薬リード分子の設計と合成開発に際し、イオウ原子と各種ヘテロ原子(金属イオンも含む)との非結合性相互作用をニューファーマコフォアとする独創的な創薬研究概念の確立を目指して種々検討している。現在のところ、次のような研究成果が得られている。(1)現在使用されている1131品目の常用医薬品の中で275品目もの含イオウ常用医薬品の存在を明らかにした。さらに、含イオウ官能基(スルホンアミド、スルホン、スルホン酸、スルホキシド、スルフィド、ジスルフィド、チオール等)と薬効、代謝等との相関に関する情報収集を行い、興味ある有用情報を得た。今後、含イオウ官能基以外の全官能基、母核構造等に関しても整理分類してコンピュータ情報化を目指す。(2)含イオウ常用医薬品に分類される利尿薬アセタゾラミド、カルバペネム系抗生物質ビアペネム、抗潰瘍剤ラベプラゾールナトリウム等の結晶構造分子内において、非結合性S…O相互作用の存在をX線解析によって確認した。また、それらモデル化合物のDFT計算化学に基づき、非結合性S…O相互作用を有する異性体構造が最安定であることを証明した。(3)プロテインデータバンクを探索して、利尿薬アセタゾラミドと炭酸脱水酵素I及びIIとの複合体結晶、ならびに3種の酵素阻害剤アシルアミノチアジアゾリン誘導体とマトリックスメタロプロテインであるストロメリシンとの複合体結晶等のX線結晶構造において、分子内非結合性S…O相互作用やチオカルボニルのイオウ原子と亜鉛イオンとのキレーションの存在を明らかにした。以上の結果、新規な含イオウ医薬品の分子設計の際には、上述のような分子内及び分子間非結合性相互作用を採用する合理性が強く支持された。現在、本概念に従って、メチシリン耐性菌等に有効な、新規なカルバペネム系、キノロン系、カテコール系抗菌剤の合成開発を推進させている。
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