平成17年度は、日本人集団のキサンチンオキシダーゼ(XO)遺伝子多型をスクリーニングし、SNPの存在の有無及び頻度調査を行い、6-メルカプトプリンの肝障害予測のための基礎データを得た。PCRによりXOの各エキソン、36領域を特異的に増幅後、DHPLC(TRANSGENOMIC社製WAVE核酸フラグメント解析システム)によりSNPの有無をスクリーニングした。また、DHPLCにてSNPの存在が疑われた検体について、ダイレクトシークエンスにより塩基配列を解析した。96人の日本人より抽出したゲノムDNAを用いて、XOの各エキソン36領域をそれぞれ特異的にPCR増幅することができた。それらのPCR産物について、DHPLC及びシークエンス解析した結果、エキソン1、2、3、4、6、9、11、12、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、28、29、31、32、33、35及び36領域には既知及び新規のSNPは検出されなかった。それに対し、エキソン21及び27領域では既知のSilent Mutation(2211 C>T及び3030C>T)が検出された。また、エキソン8、10、13及び34領域では新規のSilent Mutation(627 G>A、837 C>T、1134 C>T及び3771 G>A)が検出された。それに対し、エキソン7、30及び34領域ではアミノ酸変異を伴う新規SNPである514 G>A(Gly172Arg)、3326 A>C(Asp1109Thr)及び3662 A>G(His1221Arg)が検出された。アミノ酸変異を伴うSNPの中で、最も頻度が高かった部位は514 G>A(Gly172Arg)であり、ヘテロ接合体が8.3%存在した。しかし、変異型のホモ接合体は、今回の検体の中からは見いだされなかった。また、3326 A>C(Asp1109Thr)及び3662 A>G(His1221Arg)のヘテロ接合体は、それぞれ3.1%及び1.0%存在した。 来年度は、これらのアミノ酸変異を有する発現タンパク質を人工的に合成し、酵素速度論的解析とタンパク質安定性に関する検討を行う予定である。
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