研究課題/領域番号 |
16659066
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高濱 和夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80150548)
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研究分担者 |
白崎 哲哉 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (30264047)
副田 二三夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (10336216)
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キーワード | Enriched環境 / ジエチルスチルペストロール / 脳撹乱作用 / ブロモデオキシウリジン / Ca^<2+>依存性リン酸化酵素 / 海馬 / 受動的回避反応 / マウス |
研究概要 |
脳の形態・機能の発達・獲得・維持は、遺伝子で規定されるだけでなく、環境の影響も受ける。本研究では、遊具などを配置した"Enriched環境"での飼育がジチルスチルベストロール(DES)のマウス胎仔期後期曝露による脳撹乱作用に如何に影響を及ぼすかについて検討を加えた。その結果、以下の成績および結論を得た。1)DES胎仔期暴露マウスのEnriched環境飼育は、同じくDES暴露マウスの通常のStandard環境飼育に比べて、海馬や歯状回の容積や海馬CA!、CA3の錐体細胞層の厚さを増加させる傾向を示したが、有意ではなかった。しかし、歯状回の顆粒細胞層において、細胞増殖のマーカーであるBrdUの陽性細胞の数を有意に増加させた。また、このBrdU陽性細胞の約80%はNeuN陽性で、神経細胞であることが認められた。2)Enriched環境飼育はオープンフィールドにおける洗顔、毛づくろいの回数を有意に増加した。3)胎仔期DES暴露による受動的回避反応の抑制は、Enriched環境飼育により発現しなくなった。4)同様に、胎仔期DES暴露による海馬のリン酸化型Ca^<2+>依存性リン酸化酵素II(pCaM kinase II)レベルの増加もEnriched環境飼育により完全に抑制された。これらの成績は、DESの胎仔期暴露による脳撹乱作用、特に、受動的回避反応の抑制および海馬のpCaM kinase IIレベルの増加がenriched環境飼育により改善されることを示した初めての知見であり、環境ホルモンの脳撹乱作用のメカニズムに関する研究やその作用の再現性に関する問題を追究するための重要な基礎知見を提供する。さらには"Enrich環境"がもつ脳機能の修復・強化作用の分子実体をプロテオーム解析などの手法により探索、解明することにより、脳撹乱作用の予防
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