研究概要 |
昨年度に検討したイヌ動静脈シャント後の血管肥厚におけるキマーゼのTransforming Growth Factor-β活性化を介した役割について、研究発表に記載したとおり論文化することができた(Jin et al.,J Am Soc Nephrol 2005;16:1024-1034)。本年度は、昨年度より行っていたラット心筋梗塞モデルを用いた研究の追加を行った。ラット心筋梗塞後2週の時点でキマーゼ活性およびコラーゲンI、コラーゲンIII、Transforming growth factor-βの発現増加が見られた。ラットキマーゼは、アンジオテンシンIIを産生しないことより、キマーゼは、Transforming growth factor-βの活性化を介して心筋梗塞後の心臓線維化に深く関与しているものと考えられる。この心臓線維化は、キマーゼ阻害薬を投与することにより、キマーゼ活性低下および、コラーゲンI、コラーゲンIII、Transforming growth factor-βの発現減少を伴っていた(研究発表:Kanemitsu et al., Hypertens Res.)。これらのデータは、キマーゼがアシジオテンシンIIを介さずともTransforming growth factor-βの活性化を介し心血管線維化を促進させることを示唆するものである。さらに、心筋梗塞を作製後1ヶ月の時点で、心筋線維化部位を手術的に摘出し、残存心筋を繋ぎ合わせ(ドール術モデル)、その後に見られる線維化に対し、キマーゼ阻害薬が有効であることも確認し(2005年、米国心臓学会にて報告)、現在、論文投稿中である。
|