研究概要 |
膜型増殖因子EGFファミリーメンバーは細胞膜表面でsheddingを受け、カルボキシ末端断片(C-terminal fragment ; CTF)を産生する。EGFファミリーメンバーのHB-EGFとamphiregulinのCTFについて解析をした結果、HB-EGF-CTF, amphiregulin-CTFともにER/核膜に移行し、集積した。本研究ではShedding後に細胞膜に残る膜ペプチドCTFがいかにしてER/核膜に移行するのか、またそれを規定する因子は何かを解析した。 HB-EGF-CTF核移行の分子機構解析 sheddingによって初めて露出するHB-EGF-CTFアミノ末端を特異的に認識する抗体(抗HB-EGF-CTF-N抗体)を開発した。Western blot解析からこの抗HB-EGF-CTF-N抗体は、HB-EGF全長は認識せず、sheddingによって産生されるHB-EGF-CTFを特異的に認識することを確認した。次に抗HB-EGF-CTF-N抗体を用いてHB-EGF発現HT1080細胞を免疫染色した。Shedding誘導剤非存在化では抗HB-EGF-CTF-N抗体陽性は認められなかったが、Shedding誘導剤であるTPAで処理1時間後の免疫染色で、ER/核膜の染色陽性像を得た。更にTPAで処理時間を短縮し、同様に染色を行い細胞内局在を解析したところ、recycling eondosomeと思われる領域を染色した。そこでrecycling eondosomeのマーカーとなるトランスフェリン受容体を標識トランスフェリンで細胞内に取り込ませ、recycling eondosomeに局在させるのを平行して行い抗HB-EGF-CTF-N抗で共局在を解析した。その結果、抗HB-EGF-CTF-N抗体はトランスフェリン受容体と共局在した。このことから、HB-EGF-CTFはshedding後にrecycling eondosomeを通過することが予測された。そこで、recycling eondosomeへの小胞輸送反応において重要な反応を担う低分子量G-蛋白質Rab5に焦点を絞り、Rab5のdominant negative formの発現による機能抑制、Rab5特異的siRNAによる遺伝子ノックダウンにより、HB-EGF-CTFのER/核膜に移行について解析を進めている。
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