研究課題/領域番号 |
16659078
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
中田 裕康 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00041830)
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研究分担者 |
鈴木 登紀子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究所 (10415531)
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キーワード | GPCR / ダイマー / パーキンソン病 / アデノシン受容体 / ドーパミン受容体 / タンパク融合 |
研究概要 |
本研究はドーパミン神経伝達におけるアデノシン受容体A_<2A>サブタイプ(A_<2A>R)とドーパミン受容体D_2サブタイプ(D_2R)との拮抗的相互作用を分子レベルで解明し、パーキンソン病治療薬として注目されたA_<2A>Rアンタゴニスト(カフェイン誘導体)の作用機序を明らかにするとともに両受容体ヘテロ複合体を作用点とする新規なパーキンソン病治療薬の開発の可能性を探ることを目的とする。両受容体の直接的な相互作用の解析を進めるために、両受容体の恒常的なヘテロ複合体モデルとなる融合タンパク質の作製をおこなった。 作製の方法としては、受容体の細胞膜貫通ドメインを欠損させて両受容体を融合させるだけでなく、両受容体の間に別の細胞膜貫通ドメインを介して両受容体を融合させた。また一本鎖GPCR複合体の最適化のため、さらにいくつかのベクターを構築した。作製した融合タンパク質は放射性標識リガンドを用いた結合実験によって、天然のA_<2A>R/D_2Rヘテロ複合体と同等の性質を保持していることを確認した。その結果、両受容体間に介在させる細胞膜貫通ドメインはアミノ酸配列そのものよりも、両受容体が立体配置を維持できるような長さがその前後に必要であることが示唆された。これは、複数個の膜タンパク質から成る複合体を、機能性一本鎖ポリペプチドとして遺伝子工学的に作製するもので、単量体としてだけでなく二量体をも形成して機能するA_<2A>RやD_2Rを直鎖状に結合させた融合タンパク質発現系を確立した。このように受容体活性を有する一本鎖GPCR複合体を作製することよって、細胞膜表面上ですべてのA_<2A>RやD_2R分子をホモ・ヘテロ二量体として発現させることが可能となり、もって二量体の機能を解析できるようになった。
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