【目的】 小胞体は細胞内小器官であり、細胞内カルシウム濃度調節や蛋白質の修飾により細胞機能維持に重要な役割を果している。その障害が小胞体ストレスと呼ばれる現象であり、小胞体内に折り畳み異常を起こした蛋白質が蓄積する。小胞体ストレス応答にてこれらの蛋白質の蓄積を防いでいるが、その破綻が細胞死を引き起こす。研究代表者らは、小胞体ストレスによりカスペース-3、-7、-12が活性化されること、また小胞体に局在するBcl-xLがカスペース-7を特異的に抑制することを明らかにした。すなわち、小胞体においてBcl-xL依存性および非依存性のカスペース活性制御機構の存在を示した。本研究では、小胞体におけるカスペース-7の活性制御のメカニズムを解明する。 【研究実績】 1.小胞体局在型Bcl-xLとBaxとの相互作用:質量分析にて、小胞体局在型Bcl-xLとBaxとの結合を認めた。Baxの膜貫通領域をcytochrome b5の膜貫通領域と入れ換えたキメラ蛋白(小胞体局在型Bax)は、培養細胞への強制発現にて細胞死を誘導し、さらに、カスペース-7の活性化を誘導した。また、小胞体局在型Bcl-xLの発現にて、アポトーシス及びカスペース-7の活性化を抑制した。 2.小胞体局在型Bcl-xLとBakとの相互作用:Bakの膜貫通領域をcytochrome b5の膜貫通領域と入れ換えたキメラ蛋白(小胞体局在型Bak)も小胞体局在型Baxと同様の結果を得た。 3.カスペース-7の活性化に対するApaf-1の関与:Apaf-1-/-EF細胞にて、小胞体ストレス刺激によるカスペース-7の活性化を認めた。
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