研究課題/領域番号 |
16659088
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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研究分担者 |
松村 伸治 関西医科大学, 医学部, 助手 (70276393)
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キーワード | 神経幹細胞 / ネスチン / トランスじぇニックマウス / 神経因性疼痛 / グリア / BrdU / 脊髄スライス / 後根神経節 |
研究概要 |
脊髄においても脊髄切断や坐骨神経切断により運動機能不全の動物が神経幹細胞あるいは神経栄養因子をはじめとするさまざまな因子の影響下に顕著な機能回復や神経再生がみられるとの報告がなされている。神経損傷に伴う神経因性疼痛の発生には一次求心性線維の細胞体が存在する後根神経節細胞のフェノタイプの変化や脊髄後角深層から痛覚伝達に重要な浅層へのAβ線維の発芽による神経回路網の再構築などの器質的変化が提唱されてきたが、いまだ不明な点が多い。本研究は、神経幹細胞のマーカーであるnestinのプロモーターの下流にGFPを組み込んだトランスジェニックマウス(pNestin-GFP Tgマウス)を用いて、神経因性疼痛に伴う神経回路網の再構築における神経幹細胞の役割とその活性化因子を解明することを目的とする。未処置のマウスでは脊髄中心管付近に強くnestin陽性細胞が染色され、加齢とともに減弱した。選択的に坐骨神経を結紮して神経因性疼痛モデルを作製すると脊髄の中心管付近にnestin陽性細胞の増加と脊髄後角にnestin陽性細胞が出現した。後根神経節においてもnestinは神経細胞の周辺に強く発現していたが、加齢とともに減弱し、神経因性疼痛モデルによりその発現の増大が認められた。BrdUで染色を行うと脊髄後角、中心管付近において、BrdUの取り込みが認められた。nestin陽性細胞の出現と細胞数の増加に関与する因子を明らかにするために、脊髄のスライス標本を用いてnestin-GFPの蛍光強度を経時的に追跡すると、ATP存在下に蛍光強度の増大が認められた。現在、神経因性疼痛、神経幹細胞とATPの関係を明らかにすべく研究を進めている。
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