研究課題/領域番号 |
16659089
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
里 直行 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助手 (70372612)
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研究分担者 |
森下 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (40291439)
谷山 義明 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助手 (60372611)
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キーワード | 超音波 / 遺伝子導入法 / 中枢神経系 / 副作用 / アストロサイト・グリア系 / 超音波増強剤 / 血液・脳関門 / 安全性 |
研究概要 |
初年度は超音波を用いた脳への遺伝子導入法の開発を行った。Wistar male rat(7-8週令)を用い、下記の1-2の方法により、ルシフェラーゼ遺伝子と超音波増強剤を投与し、投与直後に超音波を照射した。 1 大槽から脳脊髄液への投与:大槽より脳脊髄内へ遺伝子を注入、同部位に超音波照射を行った。 2 線状体への投与:stereotacticに線条体へ遺伝子を注入、頭頂骨より超音波照射を行った。 脳を取り出しルシフェラーゼ活性を測定したところ、超音波照射群においてコントロール群に比し有意に遺伝子導入効果が認められた。 超音波の条件を変化させ、最も効率よい方法を見い出した。超音波の強度は2〜5W/cm2、照射時間は5〜10秒、オプチゾンの量は25%が至適と考えられた。 また、遺伝子が導入された細胞を明らかにするため、超音波増強剤とVenus遺伝子を投与、その後超音波照射し、3日後に脳を取り出し共焦点顕微鏡で観察したところ、遺伝子導入細胞は神経特異的マーカーであるNeuNでは染色されないことから神経細胞でないことが明らかになり、その形態からアストロサイト・グリア系の細胞と推察された。 ウイルスによる遺伝子導入法では炎症などの副作用が多く報告されている。従って超音波を用いた遺伝子導入による副作用の有無を検討した。超音波を用いた遺伝子導入法では髄膜炎などの炎症症状は認められず、遺伝子導入後の体重減少も認められなかった。線状体への針の刺入による血液・脳関門の破壊および組織損傷も軽微であり少なくとも1ヶ月後には修復が認められた。 以上のことから、超音波を用いた遺伝子導入法は効率的かつ安全に中枢神経系への遺伝子導入に用い得ることが証明された。
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