本年度は以下の成果を得た。 1)血液からのDNA抽出法の検討 昨年度はDNA抽出法を中心に検討し、多くの研究室で使用されるQuiagen社のDNA抽出キットに比べ、膜を利用したDNA抽出器は操作時間が約5-10分/検体と非常に短時間ですみ、一年程度冷蔵保存の血液からでも50-100KbのDNAを回収できた。本年度はこれを実践的に応用し、研究室のメンバー10人で再現性のよい結果を得た。医の倫理委員会ですでに承認を受けた研究計画について患者群のDNAについても今後検討する。 2)クローニング条件の検討件については、昨年度、大腸菌のETクローニング法におけるクローニング条件の検討し、大腸菌株の選定を行った。当初、非常に期待していた方法であったが、この方法は対象領域が10Kb以上になってくると組換え率が非常に低くなることが判明した。これではETクローニング法のよさが活かせないため、次いで非対称的なcohesive末端を生じる制限酵素を用いる方法をモデルゲノムとして酵母を対象に検討した。約10KbまでのDNA断片について、ゲノムからのdirect cloningを試みたところ、回収したクローンはほぼ全例目的の領域を含んでいた。ヒトゲノムの際はcomplexityが高いため、分子量によるDNA分画等を行わねばならないと思われるが、極めて期待が持てる方法と言える。 以上をもとに、今後ますます実用化への道を目指したい。
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