研究概要 |
1)ヒト由来肉腫細胞株(epithelioid sarcoma (ES), malignant fibrous histiocytoma (MFH), malignant peripheral nerve sheath tumor (MPNST))においても、上皮系の癌細胞と同様に35kDa〜55kDaのemmprinの発現を認めた。 2)上記のemmprinを発現するES細胞2株とヒト皮膚由来線維芽細胞3株のco-cultureにおいて、潜在型および活性型MMP-2の産生亢進を認め(2.5-5.5倍)、その亢進活性は抗emmprin合成ペプチド(emp#2)によって容量依存的に抑制された。 3)ES細胞の培養上清中には約55kDaのemmprin分泌を認め、これはWestern blottingにおいて、抗emmprin-N末抗体に対しても、抗emmprin-C末抗体に対しても反応し、full sizeのemmprinであると考えられた。さらに、この上清を線維芽細胞に添加すると潜在型MMP-2の産生を容量依存的に刺激し、その活性は抗emmprin抗体処理によって失われた。 4)実際のヒトES6症例の組織において、emmprinは腫瘍細胞に陽性、腫瘍周囲線維芽細胞に陰性で、MMP-2は腫瘍細胞、腫瘍周囲線維芽細胞ともに陽性であった。また、腫瘍内線維芽細胞は、emmprin,MMP-2ともに陽性であった。 5)Full emmprin cDNA, N-terminal tagged emmprin cDNA, C-terminal tagged emmprin cDNA-expression vectorを作成し、tissue inhibitor of matrix metalloproteinases (TIMP)のsignal sequenceを用いたemmprin活性阻害ペプチド(emp#2)分泌plasmidをoverlap extension PCR法にて作成中である。
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