研究課題/領域番号 |
16659139
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
登 勉 三重大学, 医学部, 教授 (60106995)
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研究分担者 |
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80237304)
有馬 公伸 三重大学, 医学部, 助教授 (10175995)
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キーワード | 腫瘍マーカー / DNAメチル化 / GSTP1 / 腎尿路系腫瘍 |
研究概要 |
正常細胞ゲノムにgenetic changeとepigenetic changeが起こり、これらの異常が蓄積することで正常細胞から癌細胞へと変化していくモデルが大腸癌を例に提唱された。これまでは、細胞自身が分泌するタンパク量の変化や修飾糖鎖の変化などを測定して腫瘍マーカーとしてきた。これらの変化は必ずしも癌細胞特異的でなく、炎症性疾患や他の良性疾患の場合にも増加することがあり、正診率を向上させることが困難となっている。そこで、癌細胞に起こった変化を検出することができれば、より精度の高い診断が可能であると考えた。 初年度には、癌抑制遺伝子p16、レチノイン酸受容体RARβ、E-cadherin、グルタチオンS-トランスフェラーゼGSTP1のプロモーターメチル化を腎尿路系疾患11例からの尿検体について検討した。11例のうち、悪性腫瘍は2例、疑い例は2例、炎症1例で、残り6例の診断名は伏せて検討した。健常者1名からの尿検体も検査対象に含め、合計12検体で検討した。 健常尿では、4遺伝子のうちE-cadherinのみがメチル化されていた。残り11検体での各遺伝子のメチル化率は、次のようであった。p16、10/11(91%);RARβ、10/11(91%);E-cadherin、11/11(100%);GSTP1、5/11(45.5%)。E-cadherin以外の遺伝子は、健常者尿でメチル化陰性であった。これら3遺伝子のうち、p16やRARbは腫瘍疑い例や診断不明例でもほぼ全例でメチル化を認めた。しかしながら、GSTP1遺伝子は、診断が確定している腫瘍例2検体でメチル化されていたが、疑い例2検体ではメチル化陰性であった。 次年度の多検体を用いた検討では、この遺伝子のメチル化が腫瘍マーカーとして有用であるとどうかを検証する。
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