研究概要 |
自己免疫疾患患者には高頻度に抗核抗体(核内蛋白質抗体や抗DNA抗体)が検出される.また,癌患者血清中にもゲノムの守護神と呼ばれるp53蛋白質等に対する自己抗体も発見されている. そこで著者らは,抗核抗体陽性の自己免疫疾患患者の血清を用いて,核内の複製・転写の足場となっている核マトリックスに結合するDNA領域,すなわちMatrix Attachment Region DNA(MAR)を抗原として認識する自己抗体の高感度検出法を確立し,その特性を検証する事を目的にした. <研究の概要> 1)ビオチン標識した3種類のMAR(pFTZ1,pAR1,p32-3-12)プローブを作製した. 2)上記3種類のMARプローブを抗原として,高感度化学発光法を確立し,抗核抗体陽性を示す患者様血清中の抗MAR自己抗体の測定が可能となった. 3)我々が検出測定した3種類のMARプローブに対する抗MAR自己抗体と一般的に測定される抗dsDNA抗体,抗ssDNA抗体とは一定の相関が認められなかった. 以上の結果から,抗MAR抗体は現在測定されている自己免疫疾患患者血清中の抗dsDNA抗体や抗ssDNA抗体とは異なった自己抗体特性を有するという興味ある知見が得られた. 本結果は,平成16年12月1日〜3日日本免疫学会(札幌)において研究発表を行った.
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