1)広範囲欠失が確定しているHb Leporeで条件設定を行い、その後確定していないδβサラセミアおよびγδβサラセミア症例を用いて、LightCycler^<TM>(日本Roche)を用いた定量的PCRで、欠失部位の推定を行った。定量的・PCRによる遺伝子量の定量がかなり満足のゆくものであった。 2)一方のみの欠失断端をさらに詳しく追いつめて、5kb以内までに絞った。その範囲内に約10セット(入れ子PCR用のプライマーも含めて20個)を作成した。8種類の制限酵素の何れか消化されたゲノムDNAおよび同じ酵素で消化されたpUC18ベクターをDNAリガーゼで結合させた。pUCベクターのcommonプライマーと前述の5kb内に設定されたプライマー間でjunction PCRを行った。PCRプロダクトを電気泳動用にかけ、異常なバンドを拾って、その塩基配列をシーケンサーで決定した。 3)その塩基配列と高い相同性を有する配列をゲノムプロジェクトのdatabaseから探し出し、欠失断端を決定した。 4)gap PCRにより同欠失が家系の者にあるか否かを調べた。 5)本法を同じく広範囲欠失が疑われるαサラセミアに適用すべく、基礎的検討を行ったが、βグロビン遺伝子群と異なり、反復配列の多いαグロビン遺伝子群(第16染色体短腕末端)では満足な結果が今のところ得られていない。検討を重ねている。 以上より、少なくともβグロビン遺伝子群を含む第11染色体短腕では、定量的PCRとjunction PCRを組み合わせた本法が有効であることが確立された。 5)他の症例への応用: 現在のところ、本法を用いて、数種類のβサラセミアの広範囲欠失の同定を行いつつある。 申請書に記載した予定通りの結果が出つつある。
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