研究概要 |
未知の広範囲遺伝子欠失領域が決定できる新しい遺伝子技術(クローニングを用いない)の開発を行った。この新たな方法は、Real-Tlme PCRと新たに開発・命名したJunction PCRを用い、mega base単位の遺伝子欠失でさえも正確な欠失断端の決定が可能である。Genome projectによりヒトgenome data公開されている現在では、クローニングやサザンプロット解析では決定できなかった欠失さえも容易に決定できるようになった。早い場合では、Real Time PCRにより大まかな一方の欠失領域が決定できれば1週間で正確な欠失断端を決定することができる。 この方法の有用性を示すdataは広範囲遺伝子欠失型非αサラセミアの解析である。我々の研究室には全国および海外から多数の血色素異常症の遺伝子分析依頼がある。多くの検体はSSCP等の遺伝子技術により,簡易に遺伝子診断が可能である。しかし、約20家系の広範囲遺伝子欠失型非αサラセミアの遺伝子診断は手付かずの状態であった。この技術を用いて解析を行ったところ、δβサラセミア1種類・6家系(27kb欠失)、βサラセミア1家系(116kb欠失)、βグロビン遺伝子は存在するがLCR(Locus control region)を含む上流の欠失によるεγδβサラセミア3家系(39kb,46kb,118kb欠失)を診断することが出来た。現在、残りの家系についても解析中である。 しかし、この方法の問題点もみつかったもReal-Time PCRによる遺伝子定量が難しい場合(α-globin gene等)や、欠失断端付近に高度な繰り返し配列がある場合には決定できないこともある。 現在、この問題を解決する新たなテクニックを検討中である。 今後、決定できていない広範囲遺伝子欠失型非αサラセミアおよびαサラセミアの欠失領域の決定を進める予定である。これにより申請書に記載した広範囲遺伝子欠失によるサラセミア症の解明をしていきたい。
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