本研究の目的は、地域で自立した高齢女性を対象としてビタミンDの栄養状態を中心に血中非活性型ビタミンD(25-hydroxyvitamin D)を生体指標として骨粗鬆症性骨折の栄養学的リスク要因をコホート研究のデザインを用いて明らかにすることである。 対象者は新潟県村松町在住の地域で自立した70歳以上の高齢女性775名である。2003年の5月から7月にベースライン調査として骨量測定、身体機能検査、血液検査および食事調査を行った。前腕骨の骨塩量および骨密度をDXA法を用いて測定した。身体機能に関しては握力と重心動揺を測定した。血中の骨代謝関連ホルモンとして25-hydroxyvitamin D、副甲状腺ホルモンintact PTHを測定した。 平均年齢は74.6(SD 4.4)歳、カルシウム摂取量の平均値は577(SD 251)mg/日、血中25-hydroxyvitamin D濃度の平均値は23.6(SD 9.1)ng/ml、血中intact PTH濃度の平均値は34.2(SD 16.3)pg/mlであった。カルシウム摂取量と骨密度の相関(r=0.085)は有意であったが、血中25-hydroxyvitamin D濃度と骨量に有意な関連はみられなかった。血中25-hydroxyvitamin Dは血中intact PTHと有意な負の関連r=0.102(p=0.0045)がみられた。 本コホート研究のベースライン調査を完了した。今後は追跡を行い転倒骨折の発生を調査し、本研究を完了する予定である。
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