研究概要 |
今年度は、本調査研究参加者の健康状態を追跡し骨折に関連する情報を得た。調査への参加者775人のうち410人は問診により、367名は郵送により調査を行った。またもう一つの目的は、血中非活性型ビタミンD[25(OH)D]の骨代謝への影響を明らかにすることであった。非活性型ビタミンDの骨代謝への影響については、分散分析(Dunnettの多重比較法)により、血中25(OH)D濃度を10nmol/Lに分けた群が、どのように副甲状腺ホルモン(PTH)のベースライン値より上昇しているかどうかを指標に解析した。調査への参加者775人中、骨粗鬆症治療薬を服用していない582人を対象として統計解析を行った。対象者の年齢、BMI、カルシウム摂取量の平均値は、それぞれ、74.5歳(標準偏差4.5),23.3kg/m^2(標準偏差3.4)、579mg/日(標準偏差248)であった。血中25(OH)D濃度が30nmol/L未満(mean intact PTH=5.89pmol/L,p<0.0001)および30-39nmol/L(mean intact PTH=4.54pmol/L,P=0.0067)の群のPTH濃度が、PTHのベースライン値(3.65pmol/L)より有意に高いことが見いだされ、血中25(OH)Dを40nmol/L以上に維持することが正常の骨代謝を維持するのに有効であることが明らかとなった。今後、25(OH)Dの骨密度、骨折発生率への影響を明らかにする予定である。
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