研究課題
我々は、酸化ストレス耐性が習慣的な運動で強化されることを明らかにしている。そして習慣的な運動が、発がんイニシエーションを抑制することを明らかにした。本実験では、習慣的な運動が、イニシエーションの抑制にとどまらず、活性酸素によるがんの発生を抑制するかを検討している。発がん実験は長い実験期間を要するため、現在実験中である。ラットを運動群、非運動群に分け、運動群にはトレッドミルによる運動を15分間、週3回負荷し、両群に活性酸素を発生し腎がんを誘発する鉄ニトリロ三酢酸(Fe-NTA)を、週3回12週間腹腔内に投与した。Fe-NTA投与終了後は、運動群の運動時間を30分間、運動頻度を週5回にして、運動を継続し、実験開始1年6ヶ月後にラットをと殺し、腎がんの発生におよぼす、運動の影響を検討する。現在、Fe-NTA投与群では体重増加が少ないこと、運動群では非運動群に比べ体重増加が少ないことを認めている。発がんには摂取カロリーが影響を及ぼすため、運動群ラットの摂食量を測定し、非運動群には運動群と同じ食餌量を与えている。また習慣的な運動を行うことにより、活性酸素に対する耐性がどのように変動するかを検討する目的で、習慣的な運動が、抗酸化酵素活性や酸化的DNA損傷レベルのみでなく、酸化的DNA損傷の修復能に与える影響も検討する予定である。そのため、酸化的DNA損傷の代表的な指標である8ヒドロキシグアニン(8OHG)修復活性の測定法を開発している。8OHGは専らOGG1により修復されるが、ヒトOGG1を用い、その活性を測定するために、基質の種類、基質濃度、反応時間の検討を行っており、OGG1が0.05u以下でも測定できるアッセイ法を開発した。今後、このアッセイ法を用い、培養細胞やヒト血球中のOGG1が測定可能であるかを検討するとともに、約1年後に採取する運動群並びに非運動群の臓器におけるOGG1活性を測定する予定である。
すべて 2005 2004
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