研究概要 |
研究方法 生後4-5日齢のSD系雄性ラットよりアストロサイト初代培養細胞を分離した。培養アストロサイトに脳腫瘍誘発物質のethylnitorosourea(ENU), methylnitorosurea(MNU), butylnitorosourea(BNU), methylmethane sulfonate(MMS)及びpropane sultone(PS)を1時間(37℃)曝露した。Trypsin-EDTAにより細胞を回収し、0.5%低融点アガロースと混合した後に、スライドガラス上にその細胞を含むアガロースゲルを滴下した。ゲル固化後、4℃のlysis solutionに一晩浸漬した。水酸化ナトリウム溶液(pH13.8)に20分間浸漬し、DNAをunwindingした後、0.7 V/cm、250mAの条件で水酸化ナトリウム溶液中(pH13.8)にて30分間電気泳動した。エチジウムブロマイドで染色し、蛍光顕微鏡で観察した。コメットアッセイ分析ソフトにて50個の細胞を画像解析し、DNA migrationを指標にDNA損傷を検討した。 結果及び考察 5種の化学物質総てにおいて、用量依存的にDNA損傷の増加が認められた。またDNA損傷の程度は、MMS、MNU、PS、BNU、ENUの順に強く見られた。 今後は、今回の結果を基礎データとして、電磁場と脳腫瘍誘発物質との複合曝露によりDNA損傷が増加するか、減少するかどうかを検討していく予定である。また他の培養細胞や動物を用いてコメットアッセイを行うことや、DNA損傷のメカニズムが解明されている化学物質(抗がん剤など)を用いて、電磁場と化学物質の複合曝露によるDNA損傷の変化を併せて検討していく予定である。
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