研究概要 |
本年度(〜平成18年3月31日)の研究実施計画 研究方法:本年度は、電磁場と化学物質の複合曝露による脳神経細胞のDNA損傷を、動物に曝露して、コメットアッセイにて評価することとした。生後3日齢のSD系雄性ラットにDNA鎖切断薬である抗がん剤のbleomycin (BLM)を腹腔内投与し、50Hz・10mTの電磁場に24時間連続曝露した。全脳をホモジェナイザーにて細胞を単一にした後、0.5%低融点アガロースと混合した後に、スライドガラス上にその細胞を含むアガロースゲルを滴下した。ゲル固化後、4℃のlysis solutionに1時間浸漬した。水酸化ナトリウム溶液(pH13.8)に20分間浸漬し、DNAをunwindingした後、300mAの条件で水酸化ナトリウム溶液中(pH13.8)にて20分間電気泳動した。エチジウムブロマイドで染色し、蛍光顕微鏡で観察した。コメットアッセイ分析ソフトにて50個の細胞を画像解析し、DNA migrationを指標にDNA損傷を検討した。 結果及び考察:電磁場単独曝露では、脳神経細胞にはDNA損傷は誘発されなかった。5mg/kg,10mg/kg BLM単独曝露ではDNA損傷は誘発された。また電磁場とBLMの複合曝露では、BLM単独曝露と比較して有意なDNA損傷の増加や減少などの変化は見られなかった。 今回の検討では、電磁場と化学物質の複合曝露では、DNA損傷に変化は見られなかったが、今後は曝露時間・電磁場曝露強度・BLMの量などを変えて、電磁場とBLMとの複合曝露によりDNA損傷が増加するか、減少するかどうかを検討していく予定である。また他の培養細胞や動物を用いてコメットアッセイを行うことや、DNA損傷のメカニズムが解明されている化学物質(抗がん剤など)や脳腫瘍誘発物質を用いて、電磁場と化学物質の複合曝露によるDNA損傷の変化を併せて検討していく予定である。
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