研究課題/領域番号 |
16659155
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辻 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171994)
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研究分担者 |
大内 憲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90203710)
福土 審 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
石田 孝宣 東北大学, 病院・助手 (70323011)
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 講師 (00333477)
遠藤 由香 東北大学, 病院・助手 (00343046)
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キーワード | 乳がん / 自己表出法 / writing法 / 抑うつ / 不安 / Quality of Life / 生理指標 / 脳機能 |
研究概要 |
近年、がん患者に対する心理的介入が行われ、一部の研究では、生存率、心理指標、生理指標の改善効果が示されている。しかし、効果的な心理的介入方法は現在まで確立されていない。本研究では、早期乳がん患者を対象としたwriting法による自己表出(これまでの辛い出来事等を自由に記載する方法)に焦点を当てた介入の心理指標、生理指標、脳機能に対する効果を検討し、writing法のRCTへの実行可能性を検討した。 対象は以下の基準を満たす者とした:(1)研究登録時点で40歳から70歳以下の女性、(2)乳がん根治術を受け、補助化学療法終了後6ヶ月以上経過している者、(3)エストロゲン・プロゲステロンの各レセプターが陰性の者、(4)糖尿病・精神疾患・脳血管疾患の既往歴が無い者。本研究は対照群を設定せず、対象者全員に連続する3日間×各20分間のwriting法による介入を行った。介入効果を検証するために、介入開始前(心理指標・生理指標、脳機能)、介入3ヶ月後(心理指標のみ)、介入6ヶ月後(心理指標、生理指標、脳機能)に評価を行った。統計解析は、心理指標に関しては一元配置分散分析を行い、生理指標に関しては、Paired t-testを行った。本研究対象者は6名であり、全ての介入及び調査を完遂した。 心理指標に関して、分散分析の結果、抑うつ(p=0.61)、不安(p=0.43)、QOL(p=0.76)は有意な交互作用を示さなかった。生理指標に関して、Paired t-testの結果、ACTH(p=0.077)、NK細胞活性(p=0.32)、コルチゾール(p=0.26)は有意な差を示さなかった。脳機能は画像解析のため、現在定量的な集積を行っている。 本研究により、早期乳がん患者に対するwriting法の心理・生理指標の改善は示されず、writing法のRCTへの実行可能性は低いと考えられる。
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