労働者が家庭内の役割(例、育児、近所付合い等)と職場業務が両立し難い事態に起因するストレスを「Work-Family Conflict」という。本研究の自的は、2年の研究期間中に、わが国の職業を有する成人男女を対象に、(1)労働ストレスとしての「Work-Family Conflict」の評価指標の開発、(2)「Work-Family Conflict」の精神的および身体的健康度に及ぼす影響の定量的評価、(3)ソーシャル・サポートによる「Work-Family Conflict」に起因するストレスの緩和効果の評価、および、(4)「Work-Family Conflict」の健康行動(例、飲酒、喫煙、等)に及ぼす影響の定量的評価、を行うことであった。 1年目は、社会学および産業医学分野における「Work-Family Conflict」に関する文献をレビューし、論点の整理を行った。その際、以下の項目を中心に作業を行った。 (1)先行研究で用いられているWork-Family Conflict」の概念や評価指標の整理、 (2)「Work-Family Conflict」の評価指標に関し、従来から提出されている疑問点の整理、 (3)「Work-Family Conflict」の影響に関する知見の整理。 更に、文献的検討の成果を基に、「Work-Family Conflict」の評価指標、ならびに、質問票の案を作成しパイロット・スタディを行い、信頼性や妥当性を検討し、質問票を確定した。 2年目は、職業を有する成人男女を対象に、上記の質問票を用いた調査を行い、「Work-Family Conflict」の精神的および身体的健康度に及ぼす影響の定量的評価を行った。その結果、Work-Family Conflictは性別を問わず、精神的および身体的な影響を及ぼしていることが明らかになった。(775字)
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