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2005 年度 実績報告書

アリル進化の痕跡から個人特異性と集団近縁性を同時解析するDNA検査法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16659169
研究機関京都大学

研究代表者

玉木 敬二  京都大学, 医学研究科, 教授 (90217175)

研究分担者 山本 敏充  名古屋大学, 医学研究科, 助教授 (50260592)
飯野 守男  京都大学, 医学研究科, 助手 (80362466)
鶴山 竜昭  京都大学, 医学研究科, 講師 (00303842)
キーワードミニサテライト / DNA多型 / B6.7 / MS32
研究概要

最近のDNA検査をはじめとする物体検査から要求される情報は個人識別にとどまらない。例えば血痕などから個人識別情報だけでなく、その個人の属する集団がある程度判明すれば法医鑑識上、大変有用な情報となる。このため、昨年度はこのような高変異ミニサテライトのひとつであるB6.7について、その高変異性の源をたどるべく、霊長類のDNAを用いて、B6.7相当領域の増幅とアリルの塩基配列決定を試みた。17年度は、現在最も集団近縁性を示すMS32(D1S8)について検討した。MS32のアリル情報は、コーカシアンやアフリカンの民族では多く解析されているが、アジア人で多く解析されているのは日本人だけである。そこで、同じアジア人であるタイ人のアリルを分析した。まず、MS32にはミニサテライトの近傍配列の一塩基多型(SNP)が3カ所知られているが、その3カ所をタイピングしてヘテロ接合体を選択した。その結果、Hfと呼ばれるSNPではタイ人サンプル170例のうち60例がヘテロ接合体であったため、このSNPを利用したアリル特異的MVR-PCRを行い、アリルのマッピングをおこなった。マッピングされた106個のMVRの比は、aタイプとtタイプの比で3:1となっており、他の民族と有意な違いを示すものではなかった。また、このうち、アリルコードでは識別できないアリル(同一アリル)は2組あり、他の102個のアリルは全て異なっていた。さらに、ドット・マトリクス法で、今までマッピングされた世界の民族アリルのデータと構造を比較したところ、有意な類似性を示して、グループを作成するアリルが57個であった。そのアリル内類似性によってアリルを並べてみると、タイ人アリルは最も似ているアリルに日本人アリルが選ばれるのがコーカシアンアリルに比べ2倍以上あり、アフリカンアリルに最も似ているという結果を示したアリルは見られなかった。このように、MS32はタイ人においても高い個人識別力を有しているだけでなく、その集団の特徴を表すモチーフ構造をアリル内に有しており、多型マーカーとして極めて有用なローカスであることが示された。今後は他のローカスや他の集団に分析を拡げて、さらに高度なミニサテライト解析法を確立したいと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] 霊長類におけるヒトミニサテライトの分析2005

    • 著者名/発表者名
      飯野 守男
    • 雑誌名

      DNA多型 13

      ページ: 108-111

  • [雑誌論文] Evolution of hypervariable minisatellite B6.7 in man and primates.2005

    • 著者名/発表者名
      Iino M
    • 雑誌名

      Rechtsmedizin 15

      ページ: 316

  • [雑誌論文] Comparative analysis of MS32 alleles between Thais and Japanese.2005

    • 著者名/発表者名
      Yuan Q-H
    • 雑誌名

      Rechtsmedizin 15

      ページ: 285

  • [雑誌論文] Humam tandem repeat sequences in forensic DNA typing.2005

    • 著者名/発表者名
      Tamaki K
    • 雑誌名

      Legal Med 7

      ページ: 244-250

  • [雑誌論文] ミニサテライトの解析法-DNAフィンガープリントからMVR-PCRまで.2005

    • 著者名/発表者名
      玉木 敬二
    • 雑誌名

      臨床検査 (印刷中)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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