研究概要 |
骨量および骨密度は中枢神経の調節を受けることが近年明らかにされつつある。とくにストレスによるカテコールアミン分泌亢進によって骨量が低下する。さらに、寝たきりや不動による骨量低下も、ストレスによるカテコールアミン分泌亢進によることが指滴されている。ストレスにより免度力も低下するが、マクロファージが破骨細胞に分化することが原因と考えられる。そこで、ヒト末梢血単核球に骨芽細胞由来の破骨細胞分化因子であるRANKL(Receptor Activated NF κB Ligand)を作用させる破骨細胞形成能評価系を確立し、喫煙者の破骨細胞形成能について検討した。喫煙者では末梢血からの破骨細胞形成能が著明に亢進していた。喫煙者の自律神経機能を心電図RR間隔の弾力性を資料として評価したところ、喫煙者では交感神経有意で副交感神経が抑制されたストレス状態であった。さらに、Aminophenyl Fluorescein(APF)を取り込ませた破骨細胞を高リンで培養し、発生する活性酸素(主にOH-, ONOO-, -Ocl)を共焦点レーザー顕微鏡で検出すると、活性酸素は著明に増加した。したがって、リンは活性酸素産生を促進し、破骨細胞形成を誘導すると考えられた。またNADPHオキシダーゼ阻害剤(DPI)を用いたところ、活性酸素産出は抑制された。以上より、喫煙や食餌性リン過剰摂取はストレスを誘導し、破骨細胞形を促進して、骨障害を呈することが明らかになった。抗酸化機能を有する食品・栄養素が抗ストレス作用を有すると考えられるので、スクリーニングを行っている。
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