研究課題/領域番号 |
16659197
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
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研究分担者 |
眞鍋 一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 科学技術振興特任教員 (70359628)
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キーワード | siRNA / 組織リモデリング / KLF5 / ナノ粒子 / DDS / 生活習慣病 / 血管新生 / 線維化 |
研究概要 |
siRNA(small interfering RNA)は塩基配列特異的に目的遺伝子の発現を抑制する短い二重鎖RNAである。siRNAは従来より用いられているアンチセンスオリゴDNAやリボザイムに比較して、その遺伝子発現抑制効果において明らかに優っている。RNAiは線虫での遺伝子ノックダウン法としては既に標準的な手法となっている。しかし、哺乳類細胞へのsiRNAの応用は2001年に初めての報告がなされたばかりであり、siRNAの動物へのin vivo応用はまだ端緒についたばかりである。特に臨床応用に関しては研究が始まったばかりであり、そのターゲットも主にウイルス疾患と悪性腫瘍に限られている。我々はこれまでに動脈硬化、冠動脈インターベンション後再狭窄、心肥大・線維化、血管新生に重要な転写因子KLF5を同定し、その機能をノックアウトマウスなどを用いて解析してきた。既にKLF5を高効率にノックダウンすることができるsiRNAを開発し特許申請している。本研究計画ではこのKLF5に対するsiRNAを中心として、慢性炎症を基盤とした疾患に対するsiRNAの臨床応用法を開発する。まずKLF5発現を効果的に阻害できるsiRNAを同定した。このsiRNAによって平滑筋細胞の形質変換、線維芽細胞の活性化、内皮細胞の遊走が抑制できることを培養細胞で確認した。また、in vivo導入の最初の段階として、マトリゲルプラグアッセイによってこのsiRNAが内皮細胞浸潤と血管新生を抑制することを確認した。また、KLF5が喘息にも関連することから、in vivo投与対象としてマウス喘息モデルを検討した。さらに、in vivoでの治療ターゲットを拡大するために、ナノ粒子を用いた投与法を検討し、全身投与で効果が得られる可能性が示唆された。さらに検討を進めることによって、in vivoで作用するsiRNAの開発が期待される。
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