研究課題
近年心臓移植に替わって欧米で心臓への細胞移植治療が試みられている。ところが致死性心室性不整脈が出現する為に、心臓への細胞移植治療の試みは現在事実上停止している。本研究では、不整脈を除去した安全な移植細胞を作成し、細胞移植による心不全などの重症心疾患の治療法を確立することを研究目的とする。具体的には、臨床実施されて不整脈により途絶している骨格筋芽細胞に注目し、培養経過中の電気生理学的特性の変化について検討した。昨年度の交付金により、これまでに当研究室での検討から以下の事柄が明らかとなった。すなわち、1)骨格筋芽細胞は深い静止膜電位にあり、細胞同士が融合する直前に脱分極する2)筋管細胞に分化後は概ね-40mV程度の静止膜電位で安定する3)一部の筋管細胞では自発興奮を認める4)筋管細胞自体はGap Junctionを隣接細胞間で形成せず電気的に独立していることである。これらの結果は2004年米国心臓病学会にて発表された。細胞移植に伴う不整脈の原因としては、(1)移植細胞自身の催不整脈作用、(2)移植細胞と周囲の細胞との電気特性の違い、の二通りが考えられる。今回の我々の検討では、隣接細胞と筋管細胞は電気的に融合している証左は得られなかった。今後この点を解明する目的で、invivoでの不整脈発生に関する実験的検討を予定している。
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