研究課題
今回、腎臓におけるウロテンシンII(UII)の生理学的意義の詳細を明らかにする目的で、腎動脈経由でU-IIのsiRNAを導入して内因性腎U-IIをgene silencingする実験を計画した。今年度は、前年度の検討でいくつかの候補2本鎖RNAのリポゾーム法によるsiRNA導入でのUIIのgene silencing効果が10〜40%と不十分であったことより、1)試した配列のデザインが悪く十分なsilencing効果が得れていない可能性、および、2)UII mRNAの半減期が長いため一過性の遺伝子導入では効果が不十分な可能性、等を考え検討を行った。UIIのmRNAを発現しているラット血管内皮細胞を対象とし、転写阻害剤アクチノマイシンDで前処置を行い、UIIのmRNAの半減期を検討したところ、24〜30時間と比較的長いmRNAの半減期を認め、リポゾーム法による一過性の2本鎖RNA導入では、十分なgene silencing効果が得にくいと考えられた。このようなケースでは細胞内に長期間、恒常的にsiRNAを発現させる必要があり、RNA polymerase III下にsiRNAを発現するレトロウイルスベクター作成を考案した。レトロウイルスベクター(pMXs-IP:東京大学医科学研究所先端医療研究センター細胞療法分野より分与)を用いた発現系の構築を検討したが、pMXs-IPのウイルスプロモーターをRNApolymerase IIIのプロモーターに切り替えた場合の細胞への導入効率が低く、現在異なるベクターで発現系を構築中である。尚、本研究に関連してラット内皮細胞での各種血管作動因子による向炎症性遺伝子発現の機序について解析し報告した(雑誌論文1〜4)。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
American Journal of Physiology 288・1
ページ: E56-E62
Hypertension Research 28・2
ページ: 165-172
Endocrinology 146・9
ページ: 3900-3906
Biochemical Biophysical Research Communication 336.1
ページ: 163-167