研究課題/領域番号 |
16659248
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
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研究分担者 |
鳥本 悦宏 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (00281882)
大竹 孝明 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10359490)
佐藤 一也 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50360988)
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キーワード | 可溶性トランスフェリン受容体 / トランスフェリン / 可溶性HFE |
研究概要 |
血清中の鉄の担体であるトランスフェリン(Tf)は細胞膜上の受容体(TfR)と結合し細胞内に取り込まれるが、このTfRの一部は細胞膜近傍で切断され血清中に遊離し可溶性受容体(sTfR)として検出される。その濃度は骨髄赤血球産生および細胞内鉄量を非侵襲的に推測できる血清マーカーとして欧米を中心に臨床的に用いられている。しかしながら、その血中における存在形態については不明な点が多い。細胞膜上ではTfRは遺伝性ヘモクロマトーシスの原因遺伝子産物であるHFEおよびβ2ミクログロブリンと複合体を形成していることが知られており、これらの蛋白に注目し血清中のsTfR複合体の構成を検討した。まず健常者のプール血清から、抗TfR単クローン抗体を用いたアフィニティカラムおよびMonoQカラムにてsTfRを含む分画を精製した。この精製物を渡銀染色およびWestern blottingにてその構成成分を解析すると、85KdのsTfRおよび65KdのTfが主要な構成成分であることが明らかになった。次に、HFEに対する抗血清を作成し精製蛋白をWestern blotting解析したところ膜における分子量と同じ48Kdの蛋白として同定され、この分画には、可溶性のHFE(sHFE)が存在することが示された。sHFEがsTfRと複合体を形成していることを明らかにするためsHFE抗血清とTfR抗体を用いて免疫沈降/Western blottingを施行した。その結果、sHFEとTfRはそれぞれの抗体によって共沈することから、血清中で複合体を形成していることが明らかとなった。これらの結果は、細胞膜でTfRと複合して存在するHFE蛋白の一部が,分子量48kDの可溶性フォームとして血清中に放出され,sTfRと複合体を形成していることを示すものである。
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