研究課題/領域番号 |
16659248
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
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研究分担者 |
鳥本 悦宏 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (00281882)
大竹 孝明 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10359490)
佐藤 一也 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50360988)
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キーワード | 鉄 / トランスフェリン / トランスフェリン受容体 / ヘプシジン / C型肝炎 / 炎症性サイトカイン |
研究概要 |
慢性C型肝炎(CHC)患者肝組織では鉄沈着が認められ、組織に沈着した鉄が肝細胞障害を生じる重要な因子であることが知られている。しかしながら、CHC肝組織に鉄沈着が生じる機序の詳細に関しては明らかとされていない。血清中の鉄はその担体であるトランスフェリンと結合して肝細胞膜上の受容体(TfR1)と結合し細胞内に取り込まれる。そこで始めにCHC肝組織における鉄沈着と肝組織におけるTfR1の発現の程度を免疫組織化学的に検討した。その結果、正常肝組織においてはTfR1の発現はほとんど認められないのに対して、CHC患者肝組織においては高度のTfR1の発現亢進が認められ、CHC患者肝組織における鉄沈着の機序として肝細胞におけるTfR1の発現亢進が関与していることが示唆された。続いて、CHCなどの慢性炎症状態で鉄蓄積を来たす機序を明らかにするために、最近体内鉄調整に重要な役割をしていることが明らかになっているHepcidin(Hep)について検討した。Hepは肝で産生されるペプチドで消化菅からの鉄吸収を抑制し、網内系細胞からの鉄放出を抑制する作用を有する。炎症性サイトカインであるIL-6によりその発現が亢進することが知られていた。我々は、肝癌細胞株であるHuH-7を用いて他の炎症性サイトカインであるIL-1βもIL-6と同様にHep産生の亢進効果を有することを明らかにした。これらの結果から、CHC患者においては、血清中の鉄が肝細胞表面上に発現増強しているTfR1を介して細胞内に取り込まれると同時に、慢性炎症におけるIL-6、IL-1βなどのサイトカインによって産生が亢進したHepが肝細胞からの鉄放出を抑制することにより肝組織内の鉄沈着を来たす可能性が考えられた。
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