研究課題/領域番号 |
16659257
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
北川 誠一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50133278)
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研究分担者 |
加藤 隆幸 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50343413)
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キーワード | 好中球 / G-CSF / MAPキナーゼ / PI3キナーゼ / 運動性 / ランダム運動 / ERK / CD18 |
研究概要 |
ヒト好中球の運動性に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSC)の作用を解析した。細胞応答を顕微鏡下にリアルタイムで観察すると共にビデオ画像に録画し、画像解析ソフトを用いて、形態変化、運動軌跡、運動速度などを解析した。G-CSFは好中球に作用して、すみやかに形態変化と接着を誘導し、運動性を亢進した。G-CSFにより誘導される好中球の運動は刺激後、3-5分で認められ、10分後に最大となり、30-40分間持続した。最大時における細胞の運動速度は、84.4±2.9μm/5分であった。ボイデン法を用いた解析から、G-CSFにより誘導される好中球の運動は方向性をもった運動ではなく、ランダム運動であることが判明した。G-CSFにより誘導される好中球の運動と形態変化はMEK(mitogen-activated protein kinase [MAPK]/extracellular signal regulated kinase [ERK] kinase)阻害剤及びphosphatidylinositol 3-kinase (PI3K)阻害剤によって強く阻害された。しかし、p38 MAPK阻害剤の影響は受けなかった。これらの結果は、G-CSFが好中球に作用してMEK/ERKとPI3Kを特異的に活性化し、p38 MAPKを活性化しない事実と一致している。G-CSF刺激により誘導されるMEK/ERKの活性化はPI3K阻害剤によって部分的に阻害された。G-CSFで刺激した好中球は、抗CD18中和抗体存在下で接着が強く阻害されたが、葉状突起を盛んに形成した。すなわち、G-CSFは接着とは無関係に好中球の運動性を亢進した。これらの結果は、G-CSFがヒト好中球に直接作用して、その運動性(ランダム運動)を亢進し、運動性の亢進はMEK/ERK及びPI3Kによって制御されていることを示している。
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