研究概要 |
慢性活動性EBV感染症(CAEBV : chronic active EBV infection)の患者の末梢血単核球細胞をIL-2存在下で培養し,EBV感染細胞株を樹立した。その細胞株についてIFN-γ,TNF-α,granulysin, TWEAK,Ksp37,IL-12の産生状況について培養上清を用いてELISA法を用いて検討した。検討した細胞株は独立した患者より樹立された9つの細胞株で細胞表面抗原分析より5つはNK細胞,4つはγδT細胞であった。αβT細胞株は樹立されなかった。 いずれの細胞株においてもIFN-γ,Ksp37は高濃度分泌され,その量については細胞間で殆ど差はなかった。TWEAK, IL-12については全ての細胞で有意な産生は認められなかった。一方,TNF-α,granulysin産生では細胞株間で大きな差があり,TNF-α分泌細胞株ではgranulysin分泌も多く,また逆にgranulysin分泌細胞株ではTNF-α分泌も盛んであった。細胞質内のgranulysinの量を検討する目的で各細胞株細胞質内のgranulysinの量をウェスタンブロット法にて検討したところ,分泌量が高値である細胞株では細胞質内のgranulysin発現量も多く,分泌亢進は産生亢進によるものと考えられた。 9名の患者血清の解析では,4例のNK細胞タイプのCAEBV (NK細胞にEBVの感染が証明される症例)では血清中のgranulysinが高値であるのに対し,4例のαβT細胞タイプのCAEBV(4例ともCD4陽性細胞にEBVの感染が証明された)では血清中のgranulysinは低値であった。また1例のγδT細胞タイプのCAEBVではgranulysinが高値であった。以上のことからCAEBVでは感染細胞の相違によりサイトカイン分泌パターンに違いのある可能性が示唆された。
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