1年目はまずけいれんモデル作成のための条件設定を行った。生後3週(21日)及び8週雄ラットを用いて用量検討を行った。まず生後3週ラットにカイニン酸10mg/kg、12.5、20、30、40mg/kgの各ドースで投与したところ、10、12.5では変化なし。20、30、40mg/kgではいずれも投与後2時間で流涎、尻尾の硬直が見られたがすぐに消失し、臨床症状に乏しかった。生後8週のラットを用いて10mg/kgのカイニン酸を腹腔内投与したところ、いずれも投与20分頃から顔面のピクツキ、前足の間代性けいれんが持続し、部分発作重積となった。いずれも全身けいれんにはいたらなかった。約2時間の観察後、2匹はジアゼパム、2匹はフェノバルビタールで止痙した。4匹に投与し2匹は止痙するも、2匹は2時間後と翌日に死亡した。生後4週ラットの実験群4匹、対象群4匹、8週ラットの実験群3匹(即日死亡1、生存2)、対象群4匹の計15匹について、脳の組織化学的検討を行った。4週ラットの4匹については、2匹は24時間後、2匹は7日後に脳の還流固定を行った。8週ラットについても、24時間後、7日後に脳の還流固定を行った。脳のビブラトーム切片を作成し、一般染色を行うとともに、nNOS、c-FOS、AMIDA、で免疫染色を行った。生後4週ラットに対するカイニン酸投与では、一般組織、nNOS、c-FOSともに対照群と実験群で、優位な変化は認めなかった。生後8週ラットの実験群では、これまで未報告の特定の核群における特徴的な組織変化を認めた。今回の援助で購入した、顕微鏡デジタルカメラおよび画像解析ソフトウエアを用いて、領域ごとの組織学的変化の差の検討を行った。今後特異的な組織変化を数量的な指標を用いて明らかにし、脳組織障害の防止についての実験的検討をおこなう。以上の結果は平成17年度開催の日本てんかん学会に報告する予定である。
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