研究課題/領域番号 |
16659278
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
遠藤 文香 高知大学, 医学部, 助手 (70363273)
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研究分担者 |
藤枝 幹也 高知大学, 医学部, 助教授 (60209020)
松崎 茂展 高知大学, 医学部, 助教授 (00190439)
脇口 宏 高知大学, 医学部, 教授 (10116519)
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
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キーワード | バクテリオファージ / 溶菌酵素 / 黄色ブドウ球菌 / 抗生物質非依存療法 |
研究概要 |
今日の医療現場で深刻な難治性感染症を引き起こしている様々な抗生物質耐性菌を効率よく溶菌するバクテリオファージの探索・単離を行い、さらにこれら治療用ファージが産生する溶菌酵素の遺伝子クローニングから酵素蛋白(ライシン)を精製し、殺菌効果と安全性を検討することを目的に研究を行い、以下の成果を得た。 1.治療用ファージパネルの構築:黄色ブドウ球菌、大腸菌、腸球菌、緑膿菌に対する治療用ファージの選別・単離をほぼ完了し、緑膿菌以外は動物実験にてin vivoでの治療学的有効性と安全性を確認した。 2.溶菌酵素遺伝子の同定とクローニング:上記の独自に分離した新規の治療用ファージ群のうち、まず黄色ブドウ球菌ファージφMR11のゲノムDNA(約41kb)断片をクローニングし、これをもとに全ゲノム塩基配列を解読した。次いでφMR11ゲノムにコードされるライシン遺伝子を同定、そのORFを発現ベクターpTrc99Aにサブクローニングした(pTrc99A-φMR11/Lysin-6xHis)。 3.溶菌酵素の精製と治療学的効果の検討:上記pTrc99A-φMR11/Lysin-6xHisにより、大腸菌で活性ライシンの融合蛋白を発現させ、Coカラム精製にて活性ライシンの調製に成功した。この精製ライシンがin vitroであらゆる臨床分離MRSA/VRSA株を極めて強力に溶菌することを明らかにした。 現在、φMR11由来精製ライシンの有効性と安全性をin vivoで確認するとともに、精製ライシンの回収率を高める改良調整法についても検討中である。また、黄色ブドウ球菌以外のファージ由来ライシン遺伝子の同定、クローニング、精製作業についても実施中である。
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