研究課題
I.黄色ブドウ球菌ファージ由来溶菌酵素投与の安全性の検討(1)過剰投与の影響:ファージ由来溶菌酵素500Uは、マウス鼻腔からのMRSA除菌およびMRSA全身感染マウスの救命に十分な量であることを確認した。更に、腹腔内に過剰量の溶菌酵素1000U,2000U,4000Uを単独で投与し、接種直後から3ヶ月後まで生存率および全身状態を検討した。その結果全てのマウスにおいて生存率および全身状態に何ら影響は認められなかった。またマウス鼻腔内に溶菌酵素500U単独滴下した場合も、マウスの全身状態への影響は認められなかった。(2)反復投与の影響:マウス腹腔に500U溶菌酵素を10日毎に3回投与を行なった。3回目投与においても、全身状態に何ら影響はなくアナフィラキシー等は観察されなかった。(3)抗溶菌酵素抗体の産生および溶菌活性への影響の検討:上記3回溶菌酵素投与マウスの血清を採取し、Western blotting法及びELISA法により抗溶菌酵素抗体の産生を確認した。抗溶菌酵素抗血清と溶菌酵素を混合後37℃、1時間保温し溶菌活性への影響を検討した。しかし、抗体の溶菌活性への影響はほとんど認められなかった。II.溶菌酵素調剤法の検討:ヒト鼻腔、皮膚への溶菌酵素投与用薬剤開発を目指し、粉末剤および軟膏剤としての製剤法の可能性を検討した。(1)精製酵素溶液を凍結乾燥して粉末状にし、10日後生食等で再度溶液化し溶菌活性を検討した。その結果粉末状でも活性を保持していることが分かった。(2)溶菌酵素溶液を水溶性軟膏基剤と混合し、4℃で10日間保存し溶菌活性を検討した結果軟膏基剤と混合した状態でも、溶菌活性は安定に保持されることが明らかとなった。III.結論ファージ由来溶菌酵素は、安全性の高い薬剤としてMRSA除菌等に使用できる可能性が強く示唆された。
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