研究概要 |
近年、骨髄生着に骨髄ストローマ由来のケモカインSDF-1とそのレセプターとしてのCXCR4が同定され、造血幹細胞においてCXCR4の発現が重要な役割を果たしていることがわかった。さらに、SDF-1の発現にDextran sulfateの関与も示唆されている。そこで、少ない造血幹細胞でもこれらのケモカインや受容体を付加することにより骨髄生着率が上がり臍帯血移植の適応拡大につなげられると思い至った。我々は造血幹細胞移植において、SDF-1の分泌因子Dextran sulfate(Dex)、SDF-1、とさらにSDF-1の受容体CXCR-4に着目している。すでに、我々はマウス骨髄移植実験系とヒト造血幹細胞をマウスに移植する系、造血幹細胞に対しレトロウイルスベクターを用いて遺伝子導入する系を確立している。さらに、これらの系を用いてDex,SDF-1の骨髄生着における機能を解析するために、これらの因子を造血幹細胞移植のドナーの骨髄細胞と共培養または遺伝子導入することによりレシピエントにおける生着効率を検討中である。この研究成果は造血幹細胞の含有数の少ない臍帯血を用いた移植治療の適応拡大に直結するものです。
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