研究概要 |
スキンケアを行える介護ロボットの開発を目指している。凹凸のある皮膚面に外用薬を滑らかに塗布すること(なでる)は従来ロボッができなかった行為である。本年度の研究実施計画に基づいた成果を以下に報告する。<スキンケアロボットの設計>スキンケアロボットの構成は、(1)7自由度ロボットアーム(三菱重工可搬式汎用知能アーム,PA-10),(2)6軸力覚センサ、(3)視覚システム、(4)距離センサ、からなる。肢端のエンドエフェクタはパラレル機構による手先部と軟膏塗布部から構成される。パラレル機構には3自由度の改良型デルタ機構を採用、スムーズな指の動きに対応できる。<看護師のスキンケア技術の解析とデータの入力>6軸力覚センサ(ニッタ製IFS)を用い、ヒトの塗布行為を、実際に訓練された看護師および未経験の看護師のボランティアにそれぞれ行ってもらい、3次元的力学の変動を入力した。ロボットに入力する行動パターンのデータとなる。被検者が感じる、「ここちよさ」を熟練者、未経験者の両者で比較する。<パラレル機構の制御システム>安全性への考慮が不可欠との発案から、今年度は、さらに、パラレル機構の制御システムの開発を行った。塗布行為の行動パターンはその信号をモーターアンプで増してモーターを作動させ、エンコーダ信号で停止させるが、暴走した場合は、モーターへの電力供給を絶つように非常停止スイッチを設けた。<視覚システム>被検者の位置情報と形状を知る。カメラで得られた情報(2眼方式)をもとに3次元的に皮膚表面の凹凸を測定し、塗布の行動パターンに連動させた。<生体信号測定技術の確立>上述のスキンケアロボットアームが技術的に確立された段階で、ヒトがロボットの手により外用治療される場合の「心地よさ」の度合いをデジタル生体アンプシステムにて検討する。熟練者、非熟練者における差についても検討を加える。
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