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2004 年度 実績報告書

統合失調症病態のD-アミノ酸酸化酵素による制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16659304
研究機関徳島大学

研究代表者

冨田 優美子  徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (00089913)

研究分担者 福井 清  徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (00175564)
頼田 和子  徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (60116879)
キーワードD-アミノ酸酸化酵素 / D-セリン / アストロサイト / NMDA受容体 / 統合失調症
研究概要

我々は既に新生ラット脳から初代グリア分離培養を行い、タイプ1アストロサイトにおけるDAO遺伝子の発現を報告している。そこで、D-セリンが実際にアストログリア細胞で発現されているD-アミノ酸酸化酵素によって代謝されるのか否か、またその代謝の結果細胞がどの様な影響を受けるかについて検討した。
まずラットのC6細胞(glioma cell line)およびラット初代培養アストロサイトを用いて、D-アミノ酸添加後の細胞の変化を解析した。C6細胞のDAO発現量をWestern blot法を用いて観察したところ、かなり低い発現量でしか検出されなかった。
次に、mouse DAO遺伝子を組み込んだmammalian expression vectorを用い、恒常的に発現が認められる細胞(stable transformant)を作製し、D-セリンを添加したところ、濃度依存的に細胞死が誘導されるのが観察された。
このことは、DAO遺伝子発現量が比較的高い小脳由来の初代培養アストロサイトでの観察結果と一致し、DAO遺伝子の発現量が高い細胞では、D-セリンがアストログリア細胞で代謝された結果、細胞死が誘導されることを示唆するものであった。この現象は、D-セリンの代謝により生成された過酸化水素の作用であると考えられ、この細胞死はDAOの阻害剤である安息香酸の添加によって抑制された。
以上から、観察された細胞死がD-セリンのD-アミノ酸酸化酵素による代謝の結果引き起こされた現象であることが予想され、脳においては、D-セリンの代謝にアストログリア細胞に存在するDAOが積極的に関与することが示唆された。
よって、中枢神経系においてD-アミノ酸酸化酵素は、脳内在性D-セリンの代謝を司るキーエンザイムとして、D-セリンシステムの生理的また病態生理学意義に寄与すると考えられた。本研究がNMDA受容体の機能異常に基づく統合失調症などの難治性精神疾患の病態に対する新規治療薬としての酵素阻害剤開発の基盤研究となる展開が期待される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] D-アミノ酸バイオシステ厶による哺乳類の中枢神経機能の制御,---脳内在性D-セリンとD-アミノ酸酸化酵素の役割---2004

    • 著者名/発表者名
      川添 僚也
    • 雑誌名

      化学と生物 42・7

      ページ: 426-428

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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