研究課題/領域番号 |
16659306
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
上條 吉人 北里大学, 医学部, 講師 (90255266)
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研究分担者 |
木下 玲子 北里大学, 医学部, 助手 (60383593)
神磨 知道 北里大学, 医学部, 助手 (50365087)
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キーワード | 肺動脈血栓塞栓症 / 抗精神病薬 / フェノチアジン誘導体 / リスペリドン |
研究概要 |
1996年1月〜2000年12月の期間に北里大学病院救命救急センターで原因不明の肺動脈血栓塞栓症(PTE)と診断された抗精神病薬を服用中の患者を対象に年齢、生別、症状、抗リン脂質抗体、予後、精神疾患、服用中の抗精神病薬などについて検討した。この期間に47例がPTEと診断されたが、うち31例は血栓性病変の危険因子を認めた。残りの16例のうち44%にあたる7例は抗精神病薬を服用中であった。7例は早朝に発症していた。7例中5例は女性であった。5例はクロルプロマジンなどのフェノチアジン誘導体を服用していたが、2例はセロトニン5-HT2AおよびドパミンD2受容体の混合受容体拮抗薬であるリスペリドンを40および6日間服用していた。抗リン脂質抗体が検出された症例はなかった。抗精神病薬の服用はPTEの危険因子である可能性が示唆された。 また、1998年1月〜2002年12月の期間に北里大学医学部法医学教室で原因不明の突然死に対して法医(承諾)解剖された1,125例(男性808例、女性317例)を対象として年齢、生別、Bodymass index(BMI)、服用中の抗精神病薬がPTEによる死亡と関連があるかどうかロジスティック回帰分析を用いて検討した。全症例のうち34例(男性14例、女性20例)は抗精神病薬を服用していた。また、28例(男性9例、女性19例)は死因がPTEと診断された。死因がPTEと診断された28例のうち8例(29%)は抗精神病薬を服用し、全例が女性であった。女性であることおよび抗精神病薬を服用していることはそれぞれオッズ比で4.22倍(95%CI、1.82-9.78;p<0.01)および10.49倍(95%CI、3.95-27.85;p<0.01)で有意にPTEによる死亡のリスクが高かった。
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