理化学研究所・脳科学総合研究センターにおける倫理委員会承認のもと、一卵性双生児統合失調症不一致例2組、対照例1組に口頭及び書面にて研究の意義、方法を十分に説明し、同意を得た上で末梢血を採取した。末梢血からリンパ球を分取し、B95-8細胞株由来EBウイルスを用い芽球化した。芽球化したリンパ球は、培養を行い、採血後約8週間の時点でTrizol (Gibco BRL)に回収した。また一旦細胞を凍結保存した後再び培養した細胞についてもサンプル採取を行った。回収した細胞よりtotal RNAを抽出し、cDNAを作製、さらにRNA Transcript Labelling Kit (ENZO)を用いてビオチン化cRNAを合成しDNA microarray実験に供した。DNA microarrayは、Affymetrix社のGeneChip protocolに従って行った。Test2chipにてRNAのqualityを検定後、Hu133Aチップを用いhybridizationを行っている。得られたデータの解析は解析ソフトGenespring (Silicon Genetics)を用いて行い、現在解析中である。preliminaryな解析からは双生児間における全体的な遺伝子発現変動は1ペアでは対照組より大きいが、もう一組では対照ペアとの差がはっきりしなかった。今後DNA microarray結果の解析から得られた双生児間で発現変動のみられる遺伝子について、関連研究等を行い疾患に対する寄与について検討を行っていく予定である。
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