1.血液検体の収集について 血液検体の収集は、症例については神経研究所附属の外来施設において行い、対照群については様々な施設で行っている。現在までに研究協力への同意が得られた収集できた検体数は、過眠症症例(ナルコレプシーが90%)133例、対照群32例である。次年度中までに300例を目標としている。予備的検討により、血液からのDNAおよびRNAの調整方法が確定し、特にRNAについては定量的RT-PCR法での実験系が確立できた。血清・血漿蛋白中の過眠症指標となる蛋白質の検索については、自己抗体検出法の検討を進めているところである。次年度はじめに大型備品の調整を完了させ、予備的検討を開始する予定である。 2.データ解析による過眠症関連遺伝子の選択と同定について 本年度はマイクロアレイ解析研究を進展させ、日本人症例を含む死後脳の視床下部における遺伝子の網羅的発現解析を追加して行った。現在前部視床下部では対照群6例、ナルコレプシー群7例、後部視床下部では対照群8例、ナルコレプシー群6例からのマイクロアレイデータが統計処理に耐える品質があると判明し解析が進行中である。候補遺伝子選択にはpermutation法(SAMあるいはRank Product)を主に利用し、fold change、Mann Whitneyのu検定などのアルゴリズムとの組み合わせを試み、当実験系における最適な候補遺伝子選択方法を確定した。当該方法を用いて、40000程度のプローブから過眠症関連候補遺伝子を約200個の選定が可能となり、順次その妥当性を定量的RT-PCR法で確認している段階である。現在まで40あまりの候補遺伝子の妥当性検討が完了し、妥当性が確認された過眠症関連遺伝子が明らかになってきている。このうち血球中での発現変化が確認できるかどうか、検体数を増やした上で、次年度以降探索を進める予定である。
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