1.血液検体とデータベース作成について 血液検体収集は順調に進行し、ナルコレプシー中核群250例、類縁の過眠症100例、対照群160例の血清、血漿を分離・保存し、DNAとRNA抽出cDNA作成を完了した。昨年度開発したデータベースへの臨床検査所見の入力も8割程度完了し、2.の予備的解析に利用する体制ができた。 2.網羅的遺伝子発現解析によって選択された疾患関連遺伝子の発現検討 死後脳視床下部組織を用いたマイクロアレイ解析と定量的RT-PCR法により同定された、合計17個の過眠症関連遺伝子について血中での発現検討を行い、8遺伝子が安定して白血球中で定量可能であることを見出した。上記のデータベースを用いた予備的解析(疾患群・対照群各10例)を行い、このうち5遺伝子は過眠症診断や疾患重症度と相関を示す知見が得られた。条件が揃った(未服薬)検体数の収集を継続し、生物学的指標として確立できるものがあるか、今後検討数を増やして確認をすすめる。なお昨年度確立した高感度自己抗体検出法を、いくつかの新規疾患関連遺伝子に対して行ったが、疾患特異性を示す遺伝子は見出せなかった。 3.白血球中の遺伝子発現比較による新規疾患関連遺伝子の同定 血液中のmRNAをプールして疾患群特異的な発現変化を示す遺伝子をdifferential display法で探索した。2次スクリーニング後、MX2という免疫関連遺伝子がナルコレプシー群で有意な発現低下を示すことが確認され、新規の生物学的指標となることを見出した。現在印刷中である。
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