研究課題
放射線照射によりepidermal growth factor(EGF)受容体が活性化することにより細胞が放射線抵抗性になる原因として、DNA2重鎖切断修復の効率が変化する可能性が考えられた。このため、DNA2重鎖切断修復経路のうち、ヒトの細胞で重要と考えられるnon-homologous end-joining(NHEJ)に重要な役割を果たすDNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-dependent protein kinase; DNA-PK)を構成する3つの蛋白質、DNA-PKcs、Ku70、Ku80蛋白質量に及ぼすEGF投与の影響を検討した。その結果、EGF投与はそれらの蛋白質の発現に影響を与えなかった。次にEGF受容体の選択的阻害剤であるTyrphostin AG1478を用いて同様にDNA-PK構成蛋白質量に対する影響を検討した。その結果、EGF受容体の阻害はそれらに影響を与えなかった。これらのことから、EGF受容体の活性化による放射線抵抗性の原因はDNA-PK転写を介したものではないことが明らかになった。また、EGF受容体の活性化に重要なリン酸化部位に対する特異的な抗チロシン抗体を用いて放射線照射の影響を検討すると、一部の部位ではリン酸化が放射線照射によって低下していることを明らかにした。この可能性として、phosphataseが放射線により活性化していることが考えられた。そこでphosphataseの活性をpNPPアッセイにより測定した結果、2Gy照射直後に活性が亢進し照射6時間後に低下する傾向が認められた。このことから、放射線照射によりphosphatase活性が変化しそれがEGF受容体の活性化に影響を及ぼしている可能性が考えられた。
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