研究課題/領域番号 |
16659317
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 哲也 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00209561)
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研究分担者 |
天野 晃 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (60252491)
水田 忍 京都大学, 情報学研究科, 助手 (40314265)
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キーワード | 磁気共鳴画像法 / 拡散強調像 / 拡散テンソル画像 / 異方性 / 細胞構造 |
研究概要 |
MRIによるDiffusion Tensor Imaging(以下:DTI)は、生体組織における水分子の拡散をテンソルデータとして計測することにより、生体組織の異方性を推定する方法として神経線維束などの方向の推定に応用されているが、本研究では、外部から一定の方向性を持つ物理的なエネルギーを付加することによりDTIの異方性に対する感度を高め、通常のDTIでは計測できなかった組織構造の特性を画像化する可能性を探った。超音波(振動波)、電流、熱のように方向性を持つ物理的なエネルギーのうち、これまでに報告が無く、また水分子の拡散に直接的な影響を与えると期待できる超音波に注目し、DTI撮影中に圧電素子にて超音波振動を発生させるステムを構築した。圧電素子への供給電力によるMRI画像への混入ノイズを低減させた超音波発生システムを昨年度に完成させ、本年度は水やアガロースゲルを対象に実際のDTI撮影実験を繰り返した。 水を対象とした実験では超音波が水中を伝播する様子が描出され、超音波の振動方向とDTIによる異方性との関係も認められたが、アガロースゲルを対象とした実験では超音波の影響が計測できなかった。そこで、その原因を明らかにするため、障害物の設置により超音波の反射や屈折に関する実験を進めた結果、水中では超音波エネルギーによって惹起された流れをDTIがとらえていたことが明らかとなった。 微細な組織構造の抽出という当初の目標は達成できなかったものの、本課題における研究構想は、生体内に実際に到達している超音波エネルギーの定量的な計測方法として期待でき、また、生体組織の音響インピーダンスの差異を利用した新たな非侵襲的画像法として応用できる可能性がある。
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