研究概要 |
1.In vitro VEGF産生実験:大腸癌細胞株の上清中のVEGFをELIZAでスクリーニングし、DLD1が最もよくVEGFを産生していることを確認した。 2.皮下移植モデル:この細胞をヌードマウス皮下に注射し内皮細胞を標的とした抗VEGF抗体、腫瘍血管周皮細胞中のPDGFR(platelet derived growth factor receptor)を標的としたSTI571(Gleevec)を腹腔内投与し腫瘍抑制効果を検討した。至適濃度を求めるためにそれぞれ複数の濃度設定を行った。40日後に実験を終了し、腫瘍径を測定したところ、抗VEGF抗体200μg/bodyを4回投与した群で腫瘍の縮小効果が得られたが他の群では生理食塩水を用いたコントロール群と比して有意な変化を認めなかった。 3.腫瘍の血管、組織学的変化を検討した結果、DLD1での皮下腫瘍はコントロール群でもほとんどが自然壊死になっており血管、周皮細胞ともにわずかしか認めなかった。抗VEGF抗体200μg/body投与群では、血管数の減少がみられたものの大部分壊死部分であった。 4.肝転移高樹立株をKm12SMを脾注すると、30-40日で十分な肝転移を形成し、CD31,alpha SMA染色により十分な血管内皮細胞、周皮細胞の増殖を伴う血管新生が確認できた。こちらを標準モデルとして、実験を行うこととした。 5.抗VEGF抗体の腹腔内投与濃度は皮下腫瘍モデルで決定済みである。周皮細胞機能を抑えるためにGleevecの他に2種類の抗TIE2ペプチド(04EMBO,04BBRCに報告されていたもの)にHIV carrier protein(TAT)をつけたものを準備した。 6.また周皮細胞を解離させ血管新生を増進させるANG-2を標的とした中和抗体をAMGEN社に供与依頼中である。
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