研究課題/領域番号 |
16659335
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
秋山 紀雄 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (00372706)
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研究分担者 |
吉村 耕一 山口大学, 医学部, 寄附講座教員 (00322248)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 客員助教授 (60322244)
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キーワード | 慢性静脈不全症 / 下肢静脈瘤 / 治療 / MMP-9 / スタチン |
研究概要 |
[研究の目的と背景] 慢性静脈不全症は、静脈の逆流性、閉塞性または混合性病変により還流障害をきたす疾患群であり、進行すると皮膚潰瘍を併発し、治療に抵抗して難治性となる。本研究は、慢性静脈不全症に対する理想的な分子標的治療法の開発をめざした基礎的研究である。 [平成16年度の結果] 慢性静脈不全症(下肢静脈瘤)患者の手術時に病変静脈壁(n=7)を採取、正常静脈(n=4)は動脈バイパス手術時に採取し、サンプル静脈壁から蛋白を抽出、解析した。その結果、静脈瘤壁におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9発現は、正常静脈に比べ有意に増加していた。組織染色により主なMMP-9発現は中膜平滑筋細胞で確認された。また、MMP-9発現部位に一致してコラーゲンとエラスチンの減少が静脈瘤壁中膜で認められた。瘤壁培養系におけるMMP-9発現と活性はHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)により濃度依存性に抑制された。スタチンのMMP-9抑制効果はメバロン酸を添加することにより打消され、メバロン酸経路の代謝阻害作用を介していることが確認された。 [平成16年度のまとめ] 慢性静脈不全症の静脈瘤壁においてMMP-9発現は有意に増加しており、スタチンはこの静脈瘤壁におけるMMP-9亢進を顕著に抑制した。慢性静脈不全症に対するスタチンを用いた新規治療の可能性が示唆された。
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