研究課題/領域番号 |
16659337
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三森 功士 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50322748)
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研究分担者 |
宇都宮 徹 九州大学, 大学病院, 講師 (30304801)
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キーワード | 酸化チタン / EGFR / エストロゲン / gefitinib / 乳癌 / 大腸癌 / MMP7 / 突然変異 |
研究概要 |
酸化チタンの光触媒効果を用いる事により、悪臭を軽減しエストロゲン感受性腫瘍である乳癌に対する抗腫瘍効果を検討し、安全で効果的な臨床応用を目指すことを目的とした。しかしながら、酸化チタンの光触媒作用には、エストロゲンの分解効果がある事が報告されており(Environ Sci Technol 2001)、エストロゲン感受性腫瘍である乳癌に対する光触媒効果の使用は、癌種の中でその使用が最も効果的なものだと考える。 われわれは、本助成をいただき、エストロゲン同様に乳癌増殖因子として知られ、その燐酸化酵素阻害剤がすでに実用化されているepidermal growth factor (EGFR)とその阻害剤とに、まず興味を抱いた。従って、乳癌における酸化チタンの光触媒作用と癌との関係を明らかにする前に、EGFR阻害剤に対して高い感受性を示す条件を明らかにするために、最も解析のすすんでいる消化器癌を用いて明らかにすることを本年度の目的とした。 EGFR阻害剤gefitinibは、突然変異症例には高い抗腫瘍効果を発揮することが知られている。そこで、(1)EGFR突然変異をLMDを用いて大腸癌33例と11株、胃癌40例と5株、食道癌15株について解析。(2)EGFR賦活化周辺分子機構としてMMP-7が知られるが、MMP-7発現時のgefitinibの有用性をMTT assayで、MMP-7による線維化に関与するTGF-betaの発現・活性をwestern、Smad4核内移行およびPAI-1/Luciferaseで調べた。 (1)大腸癌4例(12%)に突然変異、胃癌2例と食道2株は多型を認めた。(2)大腸癌におけるMMP7発現とEGFRのリン酸化とは有意な相関を認めた(P<0.01)。gefitinib投与によりMMP7導入株は高い抗腫瘍効果を示すと考えられた。大腸癌においては、EGFR突然変異が存在する例やMMP7過剰発現例があり、gefitinibが適応となる可能性が示された。 今後は、乳癌とEGFRの感受性(突然変異・MMP7発現)、光触媒チタンとEGFRとの関係について明らかにしたい。
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