研究課題/領域番号 |
16659346
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
紀野 修一 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20234312)
|
研究分担者 |
河野 透 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (60215192)
石崎 彰 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00360983)
|
キーワード | マンナン結合蛋白質 / 肝癌 / 肝硬変 / 慢性肝炎 / MBP / 正常肝 |
研究概要 |
本研究の目的の一つである、肝細胞で産生されるマンナン結合蛋白質(MBP)が、肝臓における発癌を抑制している可能性をヒト肝組織で検証した。摘出組織の取り扱いを均一化し、組織のばらつきを解消するため単独施設(旭川医大第二外科)で臨床例50例集積予定で、十分なインフォームドコンセントを行い、現在までに30例(肝硬変18例、慢性肝炎9例、正常肝3例)を集積した。方法は原発性肝癌手術患者の肝切除部分から非癌部を術中に生検し、4%パラフォルム固定用組織と凍結用組織を採取し保存。採取血液は血清に分離、凍結保存。対照例として血管腫など良性腫瘍、肝膿庖、転移性肝癌患者の正常肝臓を手術時に肝組織、血液を採取した。パラフォルム固定組織は24時間後、糖含PBSに移し、24時間後に凍結連続切片を作成し、MBPモノクロナール抗体(旭川医大の若宮教授より供与)で免疫染色。隣接切片を対照とHE染色。共焦点レーザシステム(Zeiss社PASCAL)にて蛍光強度を定量し、臨床病理専門家による組織診断を行った。凍結組織からDNA抽出し、ウエスタンにてMBP発現を定量比較検討した。血清MBP量を測定キット(旭川医大の若宮教授より供与)で測定した結果、肝内MBP量と正相関する傾向が認められたが、血清MBP量はMBP遺伝子多型に依存し、統計学的有意差を検討するためには50例よりさらなる患者数の集積が必要であることが判明。正常肝臓同士の比較で、肝発癌を起こした正常肝臓、症例は3例と少ないが全例MBP発現量が顕著に低下しており、対照群の正常肝でのMBP発現は著名に高度であった。さらに、正常肝臓例を集積し、統計学的解析を行う予定である。まだ、十分な統計学的解析を行うだけの症例数の集積は完了していないが、血中MBPが肝発癌の予測因子となる可能性を裏付けるデータとなる可能性が強まった。
|