研究概要 |
前年度の研究で肝細胞癌におけるSIAH1の発現低下の機序として肝細胞癌の臨床検体100例を用いたRT-PCRによるSIAH1の発現、LOH解析、メチレーション解析からhaploinnsufficiencyの可能性が示唆された。 次にin vitoroでのSIAH1の機能を解析した。hepatoma cell linesにおいてSIAH1の発現が低下しているHepG2,Huh7,SNU475を用いてCell viability assayを行うと、いずれもAd-SIAH1導入した細胞にviabilityの低下と細胞増殖抑制がおこった。次にflow cytometry、TUNEL assayを行うとAd-LacZと比べAd-SIAH1を導入したCell linesでsub-G1の増加、アポトーシス細胞の増加を認めた。次にSIAH1導入によるWntシグナル伝達系(Wnt系)に及ぼす影響を調べた。TCF4 assayではWnt系に異常の認めたHepG2とSNU475においてWnt系の亢進を認め、Ad-SIAH1を導入すると抑制された。β-カテニンのwestern blottingを行うとAd-SIAH1導入によりwild typeのβ-カテニンは分解されたがHepG2に認められるmutant typeのβ-カテニンは分解されなかった。そこで蛍光免疫染色でβ-カテニンの細胞内局在を検討したらHepG2で核に集積していたβ-カテニンがAd-SIAH1導入により核外に局在が変化した。よってHepatoma cell linesにおいてAd-SIAH1導入によるWnt系への影響はβ-カテニンの細胞内分解と局在変化によりWnt系を抑制している可能性がある。 今後SIAH1導入の効果をin vivoにおいても検討する予定である。
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