(A)URA3+vectorの構築 URA3遺伝子をpRS-GALl-MYC-BSという酵母用vectorに組み込み、Direct sequenceにより塩基配列の確認を行なった。次いで、酵母内での発現を確認するために当初の予定通りwestern blotを行いURA3タンパクの発現を確認した。機能面での確認のためURA3(+)vectorを導入した酵母を5FOA培地に散布したところ予定通り、酵母の増殖は認めなかった。 (B)APC遺伝子の組み込みのコントロール実験 SW480細胞株(ヒト大腸癌由来細胞株)、健常人リンパ球から抽出したDNAを元にAPC (adenomatous polyposis coli)のMCR (mutation cluster region)をPCRを用いて増幅させ、それぞれ変異APC、正常APCとして、(A)で作製したURA3(+)vectorに組み込んだ。 (A)と同様にDirect sequenceで塩基配列の確認を行い、western blotでURA3タンパクの発現を確認した。また、変異APC、正常APCを組み込んだvectorを、それぞれ導入した酵母を5FOA培地に散布したところ予想通り正常APCを組み込んだものでは酵母の増殖は認めず、変異APCを組み込んだものでのみ増殖を認めた。 (C)臨床検体を用いた便からのDNA抽出とAPC遺伝子の組み込み実験 ヒト便からのDNA抽出を行なった後、APC遺伝子MCRのPCRを行なったところ、便中に含まれるPCR阻害物質により目的遺伝子の増幅が困難であった。条件設定の変更、プライマーの変更などを繰り返し、安定した増幅が望めるようになった。 しかしAPCを(A)で作製したURA3(+)vectorに組み込む際、その導入効率が低く、このままでは臨床応用に耐えられないと判断した。導入効率向上のため、vectorの変更やAPCを組み込むサイトの変更など様々な工夫を行なっている。
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